大音量の音楽に乗せたラップで「国防軍なんかいらねえ」。自衛隊を国防軍にするとし、表現の自由に一部制約も加えた自民党改正草案。圧政を強いる王様に民衆が憲法制定で立ち向かう。「憲法は権力者を縛るものなのに、自民案は国民の義務がたくさん入っている。戦後最大の危機だ」。「若い人や高校生も参加してツイッターなどで発信してもらえるような集会を継続して企画」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013052502000109.html

 大音量の音楽に乗せたラップで「国防軍なんかいらねえ」−。若者など幅広い人たちに憲法改正について考えてもらおうと、弁護士らがライブハウスやクラブで集会を開く試みに取り組んでいる。二十三日には「サブカルチャーイベントの聖地」と呼ばれる東京の会場で開催。京都市での集会も予定している。
 「分からないじゃ済まされない 最悪の事態は進行中」「俺には何ができる おまえには何ができる」
 二十三日夜、東京・新宿のライブハウス「ロフトプラスワン」。レゲエミュージシャンのHIBIKILLA(ヒビキラー)さんがステージでラップを披露すると、薄暗い観客席から大きな拍手が湧いた。音楽や文学、アニメなど、さまざまなテーマのトークライブが連日開かれている会場で、約七十人が客席を埋めた。
 元アイドルの千葉麗子さんが司会を務め、パロディー作家マッド・アマノさんや若手政治学者が討論。ラップ演奏を挟み、ヒップホップミュージシャンや作家、建築家らも壇上に立って、白熱したトークを繰り広げた。
 話題になったのは自衛隊国防軍にするとし、表現の自由に一部制約も加えた自民党改正草案。深井剛志弁護士(29)は圧政を強いる王様に民衆が憲法制定で立ち向かうという紙芝居をスライド上映し「憲法は権力者を縛るものなのに、自民案は国民の義務がたくさん入っている。戦後最大の危機だ」と訴えた。
 ミュージシャンらからは「(改憲の国会発議要件を緩和するため)まず九六条を変えようっていうのが、なんか怪しいっていうか」「(改憲論には)言葉のまやかしが多い」「家族や友達とか、自分の大事なやつと語り合うことが大切」といった意見が出された。
 参加した相模原市の会社員阿部浩樹さん(43)は「プロレスや映画がテーマのイベントで時々来るから興味を持った。面白かった」。東京都新宿区の三十代男性は「憲法を考えるきっかけになった」と感想を語った。
 主催した梓沢和幸弁護士は「若い人や高校生も参加してツイッターなどで発信してもらえるような集会を継続して企画し『君たちの人生に関わる問題。どうする?』と問いかけていきたい」と話している。二十六日には京都市の「メトロ」でイベント「自民党改憲草案を、クラブで語る!」が開かれる。