国民にとって素晴らしいことをする国家は戦争を仕掛けられる。ーー>キューバと同じように、カダフィ、リビアは大学まで教育費無料、医療費無料、食品、燃料は政府支援で大変安く只同然であり、無職の若者には生活保護を行うなど北欧の福祉国家以上の優遇策を行っている。民主主義の状態。だからミャンマーなどでは使えた『民主化』とかの大義(題目)が利用できないので『反政府勢力』と呼んでいるのだが、戦争で一番大切な『大義名分』が無いようではカダフィに勝てないでしょう。

http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/77c268ac2ad1eb5a3b23ae891ddd89b4



5ヶ月も続く不思議なNATO軍のリビア空爆
2011年08月18日 | 軍事、外交

カダフィ政権の崩壊近い」 米国防長官が見解
パネッタ米国防長官は16日、内戦状態にあるリビア情勢について、『カダフィ政権に残された日はわずかだ』とし、政権の崩壊が近いとの見方を示した。ワシントン市内でクリントン国務長官とともに出席した討論会で語った。
パネッタ氏は『カダフィ政権軍は弱体化している』と述べ、政権からアブドラ副内相が離反したという情報について『その新たな事例だ』と指摘した。
ただ、オバマ政権が、カダフィ政権やシリアのアサド政権を退陣に追い込めないことに、野党共和党などからは批判も出ている。これに対し、クリントン長官は『我々は(軍事力に依存しない)スマートパワーを行使している』とし、国際社会と協調して両政権に圧力をかけていく方針を強調した。
(2011年8月17日朝日新聞

『不思議過ぎるリビア空爆

5ヶ月前の3月19日に始まったフランスのサルコジ主導のNATO軍によるリビア空爆は何とも不思議で、話の辻褄が合わないのですよ。
前から記事にしたいとは思っていたのですが、日本国内ではリビアは遠くて情報が少なすぎて今まで記事にしていない。
それにしても目的が判らない。
国民の暴動を武力で鎮圧したので『人命の保護』目的なのだが、それならシリアやイエメンの方が規模が大きいが、武力介入していない。
アメリカ軍のイラク侵攻と同じで、NATO諸国には産油国リビアが肥った美味しそうな羊に見えるのだろうか。
ただ始められたのが3・11で福島第一原発事故による放射性汚染物質の拡散が未曾有の規模であることが発覚した直後の3月19日なので、不都合なニュースを隠す目的の『赤いニシンであろう。』とは推測しているのです。
この判断の根拠は国策として原発を推進して電力の8割が原子力発電のフランスがこの空爆を指導している風に見えるからですね。
赤いニシン(a Red herring レッドへリング)とは本来は燻製ニシンの意味であるが、『間違いに誘導する偽の手がかり』『本当の意図、意味を隠すための嘘』といった別の意味で使われる。
3・11当時は欧米世界のニュースのほとんどは日本の大地震と大津波だった。
ところが3月13日15日と続けざまに福島第一原発が水素爆発して放射能のキノコ雲が出来た辺りから完全に様相が一変し、日本の原発事故関連報道に取って代わられていた。これはフランスにとっては都合が悪すぎる。
ところが二度あることは三度ある。
3月19日のNATO軍の空爆後の欧米の報道が日本の福島第一原発事故事故関連から、今度はリビア空爆報道に取って代わられていたのです。
市民保護の安保理決議には、すぐさまリビアカダフィ政権は『安保理決議を受け入れる』と即座に反応している。
これに対してフランスのサルコジが『信用ならない』として問答無用と空爆に踏み切ったのですから最初から『結論ありき』である。
現在世界中で唯一残っている軍事同盟NATOによる今回の軍事力行使は拙速のそしりを免れまい。
何とも軽率で稚拙であり不真面目そのもの。このリビア空爆は『世界の警察官』を自認しているNATOにとっては自殺行為であり存在意義を問われるだろう。
安保理が決議を採択したのは3月17日である。
カダフィの『決議受け入れ』を無視して、問答無用とNATO空爆を開始したのは二日後の19日である。
『信用ならない』のはリビアカダフィではなくてフランスのサルコジの方であろう。
何としても自国民に面白いサーカスを見せて真実(原発潜在的危険性)を隠す心算なのでしょう。
リビア空爆は、原発事故報道の隠蔽目的以外にも、アメリカの未曾有の金融危機から目を逸らす目的かも知れない。
足元に火がついたユーロ危機の影響かも知れない。
何れにしろ『民主主義』を根拠にして、イスラム世界を攻撃するのであれば、女性の一人での外出や車の運転を禁止している等一番悪質なサウジアラビアを攻撃しないと話しにならない。あるいわ湾岸諸国を先ず空爆する必用がある。
(欧州と比較すれば遅れているが)他に比べて一番ましなリビアを攻撃しているのですから2003年3月の『民主主義』を根拠にして『フセインの独裁』を倒すとのブッシュ政権の『強制民主化』のイラクの例と同じであり、為にする議論であり、目的は別ですね。

カダフィとゴールドマンサックスの暗闘』

米経済紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、
ゴールドマンサックスは2008年リビアの最高指導者カダフィ大佐が管理していた政府系ファンド13億ドル以上を運用、2010年2月には2510万ドルまで大幅下落して98%以上の損失を出した。
WSJによると、最強の投資集団であるゴールドマンサックスの98%の『全損』という大失態でリビア側は怒り狂った。
2009年5月、ゴールドマンサックスはリビア側に13億ドルの損失穴埋めのため6つのオプションを提案。
リビア側はゴールドマンサックスの破綻リスクを警戒し、優先株購入にはいたらず、2010年6月に20年間年利6%のリターンを保証することで合意。
ところが、今年2月、米国はリビアへの制裁措置で370億ドル相当のカダフィ関連資産を凍結した。
ゴールドマンサックスですが、顧客に98%の全損に近い莫大な損失を出すなど到底有り得ない異常事態ですよ。
リビアのファンドの株式運用先6社とは米銀行 Citi Groupイタリア銀行 UniCredit SpA, スペイン銀行 Banco Santander, ドイツ保険会社 Allianzフランス電力社 Elecricite de Franceイタリア電力会社 Eni SpAなど一流どころであり、確かにリーマンショックでこれ等は軒並み大幅に下落したが破綻はしていない。
それなら何割減にはなるが98%損には理論上絶対にならない。
98%の全損状態になる為にはゴールドマンサックスは株式市場が下がり続ける局面で積極的に犯罪的な売り買いを繰り返して、意識的に顧客(リビア)に対して大損害を出していたのでしょう。

『ゴールドマンサックスに訴追の危機』

時事通信によりと、
リビアの政府系ファンドとの取引で米ゴールマン・サックスが贈収賄禁止法に違反した可能性があるとして、米証券取引員会(SEC)が調査を行っている。
WSJによると、この賄賂とは、ゴールドマンサックスがリビアの政府系ファンドの資産運用で巨額損失を補填するため5000万ドルの支払い合意のこと。
ゴールドマンサックスは、リビア反政府暴勃発でリビア資産は凍結され、この5000万ドルの賄賂は支払う必要がなくなり大儲けである。
サブプライム・ローン詐欺疑惑』
ゴールドマンのサブプライム担保証券(サブプライムCDO)詐欺内容を自動車販売に例えると、
ヘッジファンドとゴールドマンサックスが談合して、意図的に事故にあう欠陥自動車を設計・生産し、それを隠して良質な自動車として販売、さらにその欠陥自動車に損害保険を掛けて、事故に合わせてから保険金を稼いで儲けようという悪質な保険金詐欺に近い話なのです。
ゴールドマンサックスは、2010年4月米証券取引委員会(SEC)より証券詐欺罪の疑いで訴追され、2010年7月過去最大の5億5000万ドルの罰金を支払う。
運転し続けると必ず事故を起こす欠陥自動車(サブプライム・ローン)を債権化して『AAAで安全である』として販売する。
あわせて事故が起きることを見越して反対取引として損害保険クレジットデフォルトスワップCDS)破綻保険を予めかけて置く。
これでは顧客や保険会社は大損するが、必ずゴールドマンサックスは大儲け出来る。
議会調査委員会の650ページにも及ぶ報告書によれば、ゴールドマンサックスは顧客を騙して稼いでいた詐欺の証拠が記録されているという。これによって、司法省はゴールドマンサックスを刑事訴追するべきと指摘。
この報告書によれば、社内では『クズ』商品と呼んだモーゲージ関連債を、不良化すると知りながら顧客に売りつけていた証拠が書かれていて、ゴールドマンサックス顧客を騙し、議会で偽証したのは明らかだという。
ゴールドマンサックスの住宅ローン部門責任者は『住宅ローンを証券化し債権を可能な限り販売し、以前のポジションをクリアーせよ』。
最高財務責任者CFO)はもっと露骨で犯罪的である。
サブプライムローンの破綻を事前に熟知していたのですから驚くよりも呆れ果てる。
『これらを積極に販売しなさい。なぜなら、この市場はさらに崩壊すると思われ最良の機会があるからだ。我々はこれを有利なポジションに持って行きたい。』と高等数学を駆使する金融工学が作り出した住宅債権の責任者だけに言葉使いが小難しいが、判りやすく言い換えると、『なるべく早く多くのアホな客を見つけろ。この「クソ」を顧客に食わせることで我々は金を稼ぐのだ。』と、アメリカ最大超一流の金融投資会社ゴールドマンサックスの中身が実に分かり易い。

『民主勢力ではなくて反政府勢力』

リビアは大学まで教育費無料、医療費無料、食品、燃料は政府支援で大変安く只同然であり、無職の若者には生活保護を行うなど北欧の福祉国家以上の優遇策を行っている。
民衆が働いても食えなくて怒っているエジプトやチュニジアとは根本的に騒動の原因が違うのです。
基本的に、リビアは日本や欧米諸国の様な近代国民国家では無い。
30以上の違った部族の連合体国家なので、古くからの伝統に根ざした部族社会のリビアでは、石油利権を狙った部族間対立で割を食った不満分子が反乱を起こしていると見るべきでしょう。
エジプトやチュニジアとは根本的に違い、『反政府』勢力とは呼ぶが、決して『民主』勢力とは呼ばないのですよ。
マスコミですが、ほんの僅かですが良心が残っているのでしょうか。
何とも不思議な報道姿勢なのですよ。
何故ならカダフィの方が民主的なので、フランスやNATOとしては『民主主義の為に』との、何時もの『名目』(戦争の大義名分)が絶対に成り立たないのですね。
だからミャンマーなどでは使えた『民主化』とかの大義(題目)が利用できないので『反政府勢力』と呼んでいるのだが、戦争で一番大切な『大義名分』が無いようではカダフィに勝てないでしょう。
リビア国民の保護』を名目に空爆するサルコジですが何ともインチキ臭い。
『人命』を行実にして他国の内戦に介入し空爆して徒に人命を奪っているのですから、これでは誰が見ても納得しない。
まだしも日本が70年ほど前に掲げた植民地解放とか大東亜共栄圏のほうが戦争の大義としては遥かに優れていると言わざるを得ない。

関連記事
世論誘導疑惑 米「最も関心」大震災6割り、リビアは5% 
2011年03月31日 | 放射能と情報操作